年別アーカイブ:2020年
Q62. ピルを服用していると性感染症になりやすいですか?
A. クラミジア頸管炎のリスクを高める可能性があります。 ピル自体に性感染症やHIVを予防する効果はありません。不特定多数との性行為や性風俗業のハイリスク女性においては、ピルの服用がクラミジア頸管炎のリスクを高める可能性があると示唆されています。一方で、HIVを含めたその他の性感染症リスクの増加とピル服用との間には関連は無いと報告されています。性感染症の感染リスクを回避するにはコンドームの使用が有効ですので、不特定多数のパートナーおよびコンドームを使用しない性行為の習慣がある方は、定期的な性感染症検査をす ...
Q61. 性感染症の検査を受ける場合、症状が出るまで待った方が良いですか?
A. 多くの性感染症は、感染初期には症状がみられません。 不安な性行為によって感染しても、感染のごく初期には症状が現れないことがほとんどです。感染した菌が体内で増殖し、血液の白血球と戦うことによって炎症が生じたり、菌体から大量の毒素が放出されることによって痛みやかゆみなどの症状が出ます。したがって、症状が出ているときはある程度感染が進行している状態と考えられます。PCR検査は、菌体成分がその場所に少しでもあれば陽性になりますので、症状の無い感染初期でも検査ができます。しかし、血液を採取して抗体の有無を調べ ...
Q4. 長期間の低用量ピル服用で、将来妊娠しにくくなる可能性はありますか?
A. 長期間の服用中止後でも妊娠への影響はありません。 低用量ピルの服用期間が2年未満と2年以上で、服用中止後の女性の妊娠率を調べた研究があります。服用期間2年未満で中止後1か月めの妊娠率は25.0%、1年後は81.0%であったのに対し、服用期間2年以上で中止後1か月目の妊娠率は20.7%、1年後は79.3%の妊娠率であり、両方に有意な差はみられなかったことから、低用量ピルの服用期間と中止後の妊娠率との間には関係が無いことが報告されています。 一方で、中用量ピルや高用量ピルの服用は、低用量ピルに比べて妊娠 ...
Q60. 尖圭コンジローマの検査はどんな検査ですか?
A. 患部を直接見る診察(視診)によって診断します。 尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス6型、11型(HPV-6、11)の感染によって発症することが分かっています。しかし、HPVに感染しても、自己の免疫によってほとんどの人はHPVを排除します。HPV-6,11の検査をして陽性であっても、尖圭コンジローマを発症する可能性は低いので心配いりません。したがって、HPV-6,11の検査をする意味はあまりないと考えます。それよりも、外陰部になにかできものができた場合は、産婦人科、泌尿器科、性感染症科を受診し ...
Q59. 低用量ピルを服用していると、カンジダになりやすいですか?
A. 理論的には経口避妊薬の服用初期はカンジダが繁殖しやすい環境になりますが、低用量ピルでは証明されていません。 「低用量ピルを服用しているとカンジダになりやすいとインターネットで見かけましたが、本当ですか?」と患者さんから質問がありました。さっそく、その情報を確かめにネット検索をすると、なんと、あるクリニックのホームページに載っていました!書いてあることは、いかにも本当っぽく書いてあります・・・。果たして、真偽のほどは? 確かめるために文献を調べました。経口避妊薬を服用している群と、していない群での口腔 ...
Q3. 海外から取り寄せていたピルから日本製のピルに代えても問題ないか?
A. 効果については変わりありません。 現在、新型コロナウィルスのパンデミックのため、海外からの輸入品は届きにくい状況にあります。この影響で、海外から個人輸入していたピルが届かなくなり困っているとの相談をよく受けるようになりました。「今まで外国製の低用量ピルを服用していたが、今回から日本製のものに変更しても差し支えないか?」「外国製と日本製で何が違うのか?」という質問が多いです。私はピル推進派ですので、外国製であっても日本製であっても、日本の女性たちにもっと低用量ピルを使用していただきたいと思っています。 ...
Q58. 咽頭の淋菌が治療後も陽性になりますが、治っていないのでしょうか?
A. 口腔内常在菌の交差反応の可能性があります。 本当に治っていない可能性と偽陽性の可能性があります。Q50でも述べたように、口腔内には、淋菌(Neisseria gonorrhoea)と同じNeisseria(ナイセリア)属の常在菌が存在しています。咽頭淋菌や咽頭クラミジアの検査法は拡散増幅法が主流となっていますが、PCR法では同じナイセリア属の菌と反応(交差反応)して、偽陽性が出ることがあります。しかし、同じ拡散増幅法の検査であるSDA法は、この常在菌であるNeisseria属の菌との交差反応は少なく ...
Q57. クラミジアIgA(±)、クラミジアIgG(-)の意味は?
A. クラミジア感染は否定的です。 クラミジアの検査には、クラミジアPCR検査とクラミジア抗体検査の2種類があります。PCR検査は、クラミジアが採取した場所にいるかどうかを調べる検査です。抗体検査は、過去にクラミジアに感染したかどうかを調べる検査です。現在流行中の新型コロナウイルスの検査にも、PCR検査と抗体検査があるのと同じで、PCR検査は現時点での感染の有無、抗体検査は過去に感染したかの有無を調べます。 今回のご相談は、不妊治療中の女性で、治療前の検査でクラミジアIgA(±)、クラミジアIgG(-)と ...
Q56. 頻繁に性病になるのは免疫力が低いからですか?
A. 複数のパートナーや、コンドームの不使用は性感染症の感染リスクがあります。 毎回おりものの異常で来院される方からの質問です。「風邪はめったにひかないけど、性病に何度もなるのは、免疫力が低いからですか?」かなり不貞腐れての質問をされました。免疫力が低ければ性病だけでなく、風邪にもかかりやすくなります。お話を詳しく聞いていくと、複数のパートナーがいらっしゃり、誰からうつされたのか分からないとのことでした。性病の感染リスクは、複数のパートナー、コンドームの不使用などです。風邪にはかかりにくいということから、 ...
Q55. 外陰部にニキビのようなものができました、性病ですか?
A. 性病ではない可能性が高いですが、実際に診察をしてみないとわかりません。 女性の外陰部にできるできもので一番多いものは毛嚢炎です。外陰部の毛を剃ったり、抜いたりした後にできやすく、毛穴に一致して盛り上がり押すと痛みがあり、やがて先端が白くなって排膿します。顔にできるニキビに似た感じのできものです。これは性感染症ではなく、毛穴にできた細かな傷に、皮膚の表面にいる雑菌が入って炎症を起こすことで生じます。排膿すれば自然に治り、相手にうつすことはありません。 一方、外陰部にできるできもののうち性感染症が関係あ ...
Q2. ピルの連続服用で毎月生理が来なくても、悪影響はありませんか?
A. むしろ婦人科系の病気を予防する効果があります。 ピルの連続服用法とは、3か月に一度生理をおこす服用方法です。生理が毎月来るようなピルの服用方法は、周期的服用法と言います。ピルの連続服用法は、長期に卵巣を休ませることができるため、婦人科系の病気を予防する効果があります。妊娠中は約10カ月、授乳中も含めると、長い人では2年近くも生理が来なくなります。この時も自分の卵巣はお休みしている状態です。ピルの連続服用で卵巣を休ませて生理が来なくなることで、子宮も休ませることができます。子宮内膜症の原因の一つは、月 ...
Q54. マイコプラズマ、ウレアプラズマは常在菌ですか?
A. 常在菌ではありません。性感染症の原因菌です。 おりものの異常で受診した病院の医師に、「マイコプラズマ・ウレアプラズマは常在菌だから、除菌する必要はない」と言われたとのことで、真偽のほどを確かめに私のところに来院されました。このように、いまだに医師の中でも、マイコプラズマ・ウレアプラズマについて知識不足な人がいるのは非常に残念なことです。 常在菌の定義は、「多くの人に共通してみられ、病原性を示さない菌」のことです。 例えば、M.hominisとUreaplasma sppは、成人期までに健康な女性の8 ...
Q1. 「ミニピル」とは何ですか?
A. 黄体ホルモン単独の経口避妊薬です。 卵巣から分泌される女性ホルモンは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類です。日本で処方されている低用量ピル(経口避妊薬)の成分は、この2つのホルモンが含まれています。一方欧米では、黄体ホルモン単独の経口避妊薬も存在します。日本でも、「セラゼッタ」という商品名でミニピルを扱っているクリニックがあります。避妊効果は、低用量ピルとほとんど変わらない高い避妊効果があります。ただし、注意点として、下痢や嘔吐の際は避妊効果が低下するのと、毎日決まった時刻に服用しなければならず、 ...
Q53. おりものが多くて受診しましたが、検査せずに飲み薬だけを処方されました。飲んでも大丈夫ですか?
A. 検査をせずに薬だけを処方する病院は怪しい病院です。検査をして的確な処方をする病院を選んでいきましょう。 おりものが多いので、別の性病科の病院を受診したところ、検査をせずにジスロマックSRだけ処方されたのを不信に思い、その日のうちに当院を受診されました。患者さんから改めてお話を聞くと、性交はしばらくのあいだ無く、最近で性感染症になる機会は無かったとのこと。当院では、おりものを自己採取してもらい、グラム染色をして即座に顕微鏡で観察すると、雑菌と白血球が多数観察され、細菌性腟炎の状態でした。細菌性腟炎の場 ...
Q52. HPV検査を受けて陽性だった場合はどうなりますか?
A. コルポスコピーという子宮頸部の精密検査を受けます。 HPVは性行為によって感染するウイルスで、約100種類以上のタイプが発見されており、そのうちの約40種類が性器に感染します。子宮頸がんと強く関連するものはハイリスクHPVと言われています。女性が一生のうちにハイリスクHPVに感染する確率は10人中5人の割合ですが、感染しても9割の確率で自己の免疫によって排除されます。残りの数十年にわたって排除されない場合に、子宮頸部異形成という前がん病変を経て、進行がんになると言われています。したがって、ハイリスク ...