A. ピルの効果が減弱し、卵巣機能が再開して排卵することを言うようです。
「すり抜け排卵」という言葉は医学用語ではありません。インターネット造語と言った方が良いかもしれません。いろいろ調べていると、インターネットでは「ピル服用者の飲み忘れや抗生剤の併用による予期しない排卵=すり抜け排卵」と呼ぶようです。ピルのFAQのQ5で述べたように、抗生剤の併用によってピルの効果は減弱しないことがガイドラインにもちゃんと記載されています。ピルの服用忘れ以外にピルの効果が減弱する原因は、下痢による吸収障害、嘔吐によってピルを吐いてしまう、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)を併用することくらいしか考えられません。このように、ピルを服用していても、その効果が減弱するような要因があれば排卵してしまう可能性はあるかもしれません。しかし、万がいち、「すり抜け排卵」が起こり、精子と受精した受精卵が子宮に運ばれても、ピルの服用を継続していれば子宮内膜が薄くなったままなので、着床阻止による避妊効果があります。そこで大事なのは、飲み忘れがあった場合でも、ピルの説明書に記載してある服用方法に従って服用を継続すれば大丈夫です。ただ、飲み忘れたままにして、途中でピルの服用を完全にやめてしまうと妊娠する可能性が高まってしまいます。「すり抜け排卵」という、いかにも危険性がありそうな目新しい言葉で読者心理の不安を煽る記事が多くありますので、そのような記事に惑わされないようにしてください。