A. クラミジアやマイコプラズマの感染によって生理不順になることがあります。
最近、私のクリニックにいらっしゃる患者さんの中に、「生理不順になったので絶対にクラミジアだと思う」と言って性病検査を希望される方がいました。ところが、その後も一人だけではなく何人も、同じように生理不順で性感染症の検査を希望される方が増えていることがわかりました。
性感染症が原因で本当に生理不順になることがあるのだろうか?と、私はにわかに信じがたかったので調べてみました。
まず、生理不順(月経不順)についてですが、正常な月経の周期は個人によって様々ですが、25~38日周期で、だいたい予想通りに次の生理が来れば順調と言えます。しかし、予想通りに次の生理が来なければ生理不順と言えると思います。
さて、本題の生理不順と性感染症の関係についてです。
生理不順と性感染症についてインターネットで調べてみると、とあるクリニックの先生が書いているコラムにたどり着きます。
その先生は、「クラミジアの感染が広がって卵管や卵巣の炎症がひどくなると、卵巣の機能が低下してホルモンの異常が起こり、生理不順がみられる」と書かれていました。卵管や卵巣に炎症が広がる場合は、感染がかなり進行した状態であると考えられます。この先生が参考にした文献をコラム中に載せていらっしゃったので、その文献も調べてみましたが、どの参考文献にも、卵巣に炎症があると卵巣の機能が低下することについては書いてありませんでした。炎症があると本当に卵巣機能が低下するのだろうか?私のクリニックに来た生理不順の患者さんは、そんなに炎症が広がっていなかったのに・・・と新たな疑問が湧き、この先生の理屈に納得できませんでした。
ですので、もっと詳しく説明している文献は無いものかと調べていたら、クラミジア・マイコプラズマ感染と生理不順の関係についての文献を見つけました。それを読んでみると、クラミジアやマイコプラズマに感染した場合、ホルモン異常が無くても生理不順は起きるということがわかりました。生理不順が原因で性感染症の検査を受けるのは正しいことです。
この仕事をしていて思うのは、患者さんが先生だということです。患者さんがヒントをくださっているので、たくさん勉強させていただいています。
私が読んだ文献の解説をしたいのですが、長くなるので、これから先は、「性感染症トピックス:生理不順と性感染症の関連性についての文献的考察」で詳しく解説したいと思います。