A. 菌に効果的な抗生物質を的確に選択するためです。
前回の記事で、ウレアプラズマの検査は、細菌培養検査とPCR法などの遺伝子検査があることを書きました。
保険適用の検査でできる細菌培養検査は、ウレアプラズマの2種類を区別することが難しいですが、PCR検査は、保険適用外なので料金が割高ですが、ウレアプラズマの2種類を区別できる点で優れています。
現在のところ、ウレアプラズマ・パルバムとウレアプラズマ・ウレアリティカムの治療は、どちらも同じお薬で可能です。しかし、ウレアプラズマとマイコプラズマは、薬剤耐性を生じやすいのが特徴で、現に、どちらも効くと思われていたお薬が、どちらかにしか効かなくなる事態が、少数ながら報告されています。
そのようなときに、ウレアプラズマ・パルバムとウレアプラズマ・ウレアリティカムの区別をしておくことで、それぞれに効くお薬を的確に選択して処方することができます。今まで効くと思われていたお薬が効きづらくなる現象は、ウレアプラズマの仲間のマイコプラズマでは顕著で、マイコプラズマ・ジェニタリウムとマイコプラズマ・ホミニスでは、もはや効くお薬が異なってしまっています。
このような現象は、菌の薬剤耐性の獲得と言い、抗生物質の不完全な服用によって菌の遺伝子が突然変異することで生じると言われています。敵である菌の立場からすれば、中途半端な治療による半殺し状態になりながら、必死に生き延びようとするための手段が突然変異なのです。このような抗生物質の耐性化を防ぐためにも、症状が無くなったとしても、処方された抗生剤の服用日数までしっかり飲み切り、自分の体内から菌を完全に除去して根絶することが大切です。