A. 中止する必要はありませんが、ビブラマイシンと鉄剤は同時に飲まない方が良いでしょう。
淋病、クラミジア、マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療薬のひとつに、ビブラマイシン錠があります。アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、鉄、カルシウムなどの金属イオンとビブラマイシンがキレート形成する(お薬と金属イオンが結合して分子構造の形が変わる)ことで、腸からの吸収が低下することがわかっています。
アルミニウムとマグネシウムは、便秘の治療薬(下剤)、鉄は貧血の治療薬、カルシウムは骨粗鬆症の治療薬の主成分です。
また、ビブラマイシンと同じテトラサイクリン系のお薬であるミノサイクリン(ミノマイシン)錠は、キレート形成によって吸収が阻害されますので、ビブラマイシンの方がまだマシであるといえます。しかし、この問題を解決する方法として、先にビブラマイシンを服用し、その後2~4時間あけて、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、鉄、カルシウムのお薬を服用すれば大丈夫です。すなわち、同時に服用するとキレート形成が起こりやすいので避けた方が良いということになり、抗生剤服用の前後2時間以内はこれらの金属を含む製剤を服用しない方が賢明です。よくある失敗例では、毎朝牛乳やヨーグルトなどの乳製品を飲む習慣がある方で、朝食後のお薬を乳製品の飲料で服用すると、乳製品に含まれているカルシウムによってキレート形成が起こり、腸管での薬剤成分の吸収が低下するので注意が必要です。このようなことがあるので、抗生剤服用時のお薬はお水で服用するのが一番お勧めです。
ドラッグストアで売っている鉄剤などのサプリメント製剤は、大量に飲まなければ、含有量が少ないので、飲み合わせによる吸収率の低下をあまり気にしなくても大丈夫ですが、しばらく服用しなくてもよいサプリであれば、治療中は一時的に中止した方が気持ち的には安心かもしれません。
また、マイコプラズマ・ウレアプラズマの他の治療薬であるジェニナック®、グレースビット®などのキノロン系薬剤も、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、鉄、カルシウムのお薬と同時服用すると、吸収率の低下が起こることが報告されています。
抗生剤を服用することになったら、このような金属を含む製剤を中止しなければいけないということではなく、同時に服用しなければ良いので、抗生剤だけを先にお水で服用し、その後2時間以上たってから金属を含む製剤を服用すれば良いのです。
ちなみに、アジスロマイシンは、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、鉄、カルシウムの影響はあまり受けませんが、気になる方は、抗生剤の服用前後2時間以上あけて服用することをお勧めします。