投稿の間隔がだいぶ空いてしまいましたが、性感染症分野において非常に画期的な動きがあったのでご報告します。
性行為によって他人に伝播される可能性のあるマイコプラズマ・ウレアプラズマは4種類あります。
そのうち、マイコプラズマ・ジェニタリウムの検査だけが、2022年6月より保険適応になりました!
現在のところ、マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査は、マイコプラズマジェニタリウム、マイコプラズマホミニス、ウレアプラズマパルバム、ウレアプラズマウレアリチカムの4種類を調べられる検査として、PCR検査と培養の検査があります。
このうち4種類を同時に調べられるPCR検査は自費の検査です。
培養の検査は、マイコプラズマ・ウレアプラズマのどれかが陽性になった場合に、他の雑菌類とともに報告される検査で、こちらは保険適応の検査になっています。
以前にもお伝えしていますが、PCR検査の方が精度が高く、培養の検査は技術的に難しいため検出率が低く出ることがあります。
今回保険適応化されたマイコプラズマジェニタリウムの検査はPCRなので精度の高い検査になりますが、マイコプラズマジェニタリウムの1項目のみの検査になります。
したがって、マイコプラズマジェニタリウムに的を絞って検査をしたい場合や、マイコプラズマジェニタリウムを治療した後の治癒確認の検査として非常に有用になります。
さらに、トリコモナスについても遺伝子検査(PCR)で調べられるようになり、マイコプラズマジェニタリウムの検査をするともれなくトリコモナスの検査もすることができます。
すなわち、マイコプラズマジェニタリウムとトリコモナスを同時に調べられる検査が保険適応になったのです。逆に、トリコモナスの遺伝子検査をするともれなくマイコプラズマジェニタリウムの検査もできるのです。
ここで、トリコモナスの検査についてもお話しすると、トリコモナスの検査は顕微鏡の検査と培養の検査があり、どちらも保険適応の検査です。トリコモナスの顕微鏡の検査は、即座に検査結果が判明する一方精度は低く、培養の検査は顕微鏡の検査より精度は高いが結果がでるまでに1週間くらい時間がかかりました。しかし、このトリコモナスの遺伝子検査は、精度が非常に高いうえに結果は中3日程度で判明します。
料金については、マイコプラズマジェニタリウムとトリコモナスの同時検査の保険点数は350点であり、3割負担の場合、3500円✕0.3=1050円となります。実際には診察料や判断料などがかかるため、この検査を受けると1050円だけでは済みませんが、総額では5000円以内で検査ができるようになります。
ただ、残りのマイコプラズマホミニス、ウレアプラズマパルバム、ウレアプラズマウレアリチカムの3種類については保険適応ではないため、いまままで通り、精度は高いが自費のPCR検査か、精度は低いが保険の培養検査ですることになります。
しかし、マイコプラズマ・ウレアプラズマの中で、最も治療が難しいのがマイコプラズマジェニタリウムであるため治療代も高かったので、検査だけでも保険適応になったのは、マイコプラズマに感染して悩んでいる多くの患者さんの負担を軽減することになると思うのと、保険適応化したことで、多くの人がマイコプラズマ・ウレアプラズマという感染症に関心を寄せるきっかけになると思います。
今後も、マイコプラズマ・ウレアプラズマに感染して悩まれている多くの患者様のお役に立てるように頑張ってまいりたいと思います。