こんにちは!
STD Dr, Yoshiです。
STDはSexual Transmitted Diseaseの略で、性感染症という意味です。
急に寒くなってきましたね・・・
体調を崩さぬように夜は温かくして、睡眠をよく取るようにしてくださいね。
本日の記事は、日本でいま一番流行っている性感染症は何かについてです。
目次
1. 日本における性感染症の現状
- 現在で最も多い性感染症は?
2. 過去20年間における性感染症の推移
- 増加傾向にある性感染症は?
- 減少傾向にある性感染症は?
3. 今後の日本における性感染症の動向について
1. 日本における性感染症の現状について
厚生労働省の性感染症報告数の統計によると、2018年の淋菌感染症は8125人、性器クラミジア感染症は25467人、性器ヘルペスウィルス感染症9128人、尖圭コンジローマは5609人、梅毒は7001人でした。
男女別にみると、淋菌感染症は男性6378人に対して女性は1748人、性器クラミジア感染症は男性12346人に対して女性は13121人、性器ヘルペスウィルス感染症は男性3548人に対して女性は5544人、尖圭コンジローマは男性3584人に対して女性2025人、梅毒は男性4588人に対して女性2413人でした。
ということで、現時点での最も多い性感染症は性器クラミジア感染症でした。
しかし、この人数は日本の性感染症の実際の人数ではなく、厚生労働省に選ばれた医療機関で報告された人数なので、実際の感染者数はもっと多いということになります。かくいう私の医療機関は厚生労働省に選ばれていない性感染症の医療機関です。
厚生労働省に選ばれている医療機関は、定点医療機関と言い、産婦人科、産科、婦人科、性感染症内科、泌尿器科、皮膚科で全国の1042の医療機関です。選ばれている医療機関が優れているということは全くなく、毎年性感染症の人数を報告することによって、年次推移を把握するために選ばれた施設ということになります。
五類感染症(淋菌感染症、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウィルス感染症、尖圭コンジローマ、梅毒など)は、感染症法に基づき、医師が各保健所に届けなければならないのです。
2. 過去20年間における性感染症の推移
ということで、この定点医療機関において、過去20年で増加した性感染症、減少した性感染症について調べてみました。
増加した性感染症の第一位は梅毒です。2000年は759人だったのが2018年は7001人に、約10倍近くも増えています。
次に増加したのが、性器ヘルペスウィルス感染症で、2000年は8946人だったのが2018年は9128人に、1.2倍増えています。
一方、最も減少した性感染症は、淋菌感染症で、2000年は16926人だったのが2018年は8125人となり、約半分に減っています。
クラミジア感染症も20年前に比べて7割に減りました。
3. 今後の日本における性感染症の動向について
このように、この20年間での梅毒の急増は異常事態と言わざるを得ない状況です。
かつての日本も江戸時代に梅毒が大流行し、100年前の大正時代には男性の10人に1人は梅毒であったというデーターもあります。
1943年にペニシリンによる治療が成功し、梅毒の特効薬として使用されるようになり、徐々に減少傾向になってきていました。
日本においても2010年までは流行は抑えられていて、梅毒は特殊な病気として医療業界でも認識されていました。「まさか、梅毒が流行するなんて・・・」と私たち医療者側も油断をしていたというのも事実としてあると思います。
また、痛みやかゆみなどの自覚的な症状がほとんどないため、梅毒は感染しても気づきにくい病気です。梅毒という病気を見逃さないためにも、医療者側と患者側で正しい知識をもって意識を高めていかなければなりません。
また、日本以上に梅毒の患者数の増加がみられているのは中国です。その他にも、開発途上国でも梅毒患者が多くみられる地域があります。近年日本も急速に国際化が進んでおり、来年は東京2020オリンピックも開催されます。今年よりも来年はもっと、外国からの観光客が増加することが予想されています。このように、梅毒は今後も増加が予想されると思いますし、他の性感染症についても、一時的に増加する可能性があります。
性感染症はたった一度の性行為でも感染する可能性があります。自分は遊んでいないから大丈夫という保証はどこにもありません。他人事ではなく、自分のこととして性感染症の正しい知識をしっかり持ち意識を高めていくことが必要になってくると思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
今後も、性感染症内科医 Dr. Yoshiの診療所では、性感染症の正しい知識を随時アップデートしてまいります。
どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。