A. 相手に感染させる恐れのある性行為はしてはいけません。
性行為は常に性感染症のリスクが伴いますので、不運にして性感染症に感染してしまうことはあるかもしれません。しかし、ヒトに伝染させる性感染症にかかっていることを知りながら、完治する前に相手に感染させる行為をしたときには、傷害罪として訴えられるケースもあります。「性病予防法」の第二十八条には、「伝染の虞(おそれ)のある性病にかかつている者が、性交、授乳その他の病毒を感染させる虞が著しい行為をしたときは、これを一年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する」とありました。この「性病予防法」は平成12年に廃止されましたが、廃止後に実際に裁判になった事例もあります。HIVに感染していると知りながら5人の女性と強制性交したケースでは懲役23年。婚活サイトで出会った相手にクラミジアを感染させたケースでは多額の慰謝料の支払いを命じる判決が出ています。これらのケースでは強制性交や詐欺などの悪質な行為もあったので重罪となっていますが、性感染症であると知りながら相手にそれを感染させる行為をしただけでも罪に問われる可能性はあります。また、そのときは感染していることを知らない状態であっても、過失傷害罪として相手から訴えられる可能性はあります。
性感染症は、のちに不妊症などの後遺症を患ったり、中には命に危険が及ぶ場合もあります。性行為自体に同意があったとしても、性病をもらうことまでは想定外です。あとになって相手の気持ちが変化することもあります。したがって、性感染症になった場合は、必ず治療をして再検査まで行い治癒を確認すること(必要であれば治癒の診断書を発行してもらえます)、そして治るまでは相手との性行為は控えるべきです。自己の性感染症の有無を把握するためにも、パートナーが代わったらもちろんのこと、日頃から健康診断の感覚で性感染症の検査を受けることをお勧めします。