A. わざわざ奥まで指を入れて洗う必要はありません。
「おりものの様子がおかしい」という訴えの患者さんが来院しました。もちろん、おりものが増える可能性のある性感染症の検査をしましたが、結果はすべて陰性。おりものを顕微鏡で調べてみても、腟炎を起こす雑菌類もなく、とてもきれいな所見です。
結果をお伝えしながら、良くお話を聞いてみると、「おりものが多いときは、お風呂やシャワーの際にボディーソープを指につけて奥まで洗います。今朝も洗ってきました」とのこと。なるほどきれいすぎるわけだ!と納得しました。さらに、「腟の奥が痛い」、「セックスの際も痛かったり、熱かったりして苦痛」という症状もあるようです。
腟の中には乳酸桿菌という善玉菌がいて、雑菌から守ってくれています。善玉菌と雑菌が戦って、外に排出されるためにおりものが増えていることもあります。ボディーソープで腟の中を洗ってしまうと、雑菌とともにその善玉菌さえもやっつけてしまい、腟の中のpH(酸性度)のバランスが崩れて、新たな雑菌の繁殖を許してしまうことになります。また、皮膚と違って腟の中は粘膜のため、ボディーソープ自体の刺激によって炎症が起きます。例えると、口の中をボディーソープで洗うようなものです。石鹸やボディーソープで洗う場所は、陰毛部分と、大陰唇と小陰唇の間、腟の入り口付近だけで十分です。