Q54. マイコプラズマ、ウレアプラズマは常在菌ですか?
A. 常在菌ではありません。性感染症の原因菌です。 おりものの異常で受診した病院の医師に、「マイコプラズマ・ウレアプラズマは常在菌だから、除菌する必要はない」と言われたとのことで、真偽のほどを確かめに私のところに来院されました。このように、いまだに医師の中でも、マイコプラズマ・ウレアプラズマについて知識不足な人がいるのは非常に残念なことです。 常在菌の定義は、「多くの人に共通してみられ、病原性を示さない菌」のことです。 例えば、M.hominisとUreaplasma sppは、成人期までに健康な女性の8 ...
Q53. おりものが多くて受診しましたが、検査せずに飲み薬だけを処方されました。飲んでも大丈夫ですか?
A. 検査をせずに薬だけを処方する病院は怪しい病院です。検査をして的確な処方をする病院を選んでいきましょう。 おりものが多いので、別の性病科の病院を受診したところ、検査をせずにジスロマックSRだけ処方されたのを不信に思い、その日のうちに当院を受診されました。患者さんから改めてお話を聞くと、性交はしばらくのあいだ無く、最近で性感染症になる機会は無かったとのこと。当院では、おりものを自己採取してもらい、グラム染色をして即座に顕微鏡で観察すると、雑菌と白血球が多数観察され、細菌性腟炎の状態でした。細菌性腟炎の場 ...
Q52. HPV検査を受けて陽性だった場合はどうなりますか?
A. コルポスコピーという子宮頸部の精密検査を受けます。 HPVは性行為によって感染するウイルスで、約100種類以上のタイプが発見されており、そのうちの約40種類が性器に感染します。子宮頸がんと強く関連するものはハイリスクHPVと言われています。女性が一生のうちにハイリスクHPVに感染する確率は10人中5人の割合ですが、感染しても9割の確率で自己の免疫によって排除されます。残りの数十年にわたって排除されない場合に、子宮頸部異形成という前がん病変を経て、進行がんになると言われています。したがって、ハイリスク ...
Q51. 腟や陰茎の痛みやかゆみ、悪臭のある帯下などの症状は、常に性感染症と考えられますか?
A. 性感染症の多くは感染初期には症状がありません。 進行していくと、陰茎や腟の痛みやかゆみ、灼熱感、分泌物を生じてきます。しかし、このような典型的な症状は、性感染症とは関係のない腎臓の結石、性感染症以外の菌による尿路感染、尿道や腟の損傷によっても生じることがあります。この陰茎や腟の症状の原因を特定する唯一の方法は、医師の診察を受けて、必要に応じて性感染症のスクリーニング検査を行うことです。 性感染症のクリニックにはできれば行きたくないと思うのは当然のことと思います。しかし、このような性器の症状はきっと性 ...
Q50. 咽頭の淋菌感染がなかなか治りません。なぜですか?
A. 咽頭の淋菌は、性器の淋菌よりも治癒しにくい理由があります。 性行為の多様化により、性感染症の原因菌は性器のみならず、咽頭にも感染することが近年増えています。咽頭に感染する性感染症は、クラミジア、淋菌、梅毒、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、ヘルペス、カンジダなど様々です。中でも淋菌は、咽頭に感染すると、薬剤耐性を獲得しやすくなり、その結果お薬が効きづらくなります。 それはいったいどういうことでしょう? もともと口腔内には、淋菌の親戚であるナイセリアに属する無害な菌が常在菌として存在しています。淋菌の学 ...
Q49. 温泉やお風呂で性病に感染するかもしれないということがインターネットに書かれていて不安です。
A. そのような記事は、全く根拠も無いことが書かれていますので、どうか注意してください。 この質問は、私がこのブログを始めようと思ったきっかけのようなものです。具体的に指摘をしてもらったURLをみると、某検査会社のホームページでした。誰が記事の監修しているのかわかりませんが、「ドクター紹介」というところに、内科医院の実在するドクターが紹介されていました。内容は、お風呂で感染するんですか?のクエスチョンに、「ウィルス以外では感染の危険性があります」と最初に書かれてあり、クラミジア、淋菌、トリコモナス、梅毒の ...
Q48. クロマイ腟錠とフラジール腟錠の違いは?
A. フラジール腟錠は、腟の善玉菌である乳酸菌を殺菌しません。 この2つの腟錠は、細菌性腟症の治療薬です。細菌性腟症とは、腟内の乳酸菌が減少し、いろいろな好気性菌や嫌気性菌が異常繁殖した病的な状態です。しかし、約半数の方は無症状ですが、おりものの臭いや、色、量が増えたり、不正出血、下腹部痛を生じることもあります。クロマイ腟錠は、雑菌だけでなく乳酸菌まで殺菌してしまいますが、フラジール腟錠はもともと腟内にいる乳酸菌は殺菌せず、雑菌だけを殺菌するので、腟内の自浄作用に影響しません。
Q47. 腟炎の治療中に性行為は可能ですか?
A. 腟炎治療中は性行為はしない方が良いです。 カンジダ腟炎を腟錠で治療中の患者さんからの質問でした。腟炎の治療には1週間くらいかかりますが、その間に彼氏から性行為を求められたとき、どうしたらよいか?という内容でした。絶対に性行為をしてはいけないということではありませんが、腟錠で治療中はお薬の成分が腟の中に入っていますので、舐めると苦かったり、性器挿入時に違和感を感じることがあります。また、治療中は腟の安静を保つことで、腟炎の回復が早まります。腟の熱感やかゆみ、痛みなどが完全におさまってからの性行為をお勧 ...
Q46. 性器ヘルペスの再発を抑える治療について教えてください。
A. 再発抑制療法は2種類あります。 ①ヘルペスの前兆を感じたら早めに服用する方法です。再発頻度が1年に3回以上で、再発の初期症状(ピリピリ・ムズムズなどの前駆症状)を正確に判断できる方が保険適応です。 治療方法は、ファムシクロビル(ファムビル®)を初期症状発現後すぐ(6時間以内)に4錠服用(1回目)し、1回目の服用から12時間後に4錠服用(2回目)で完結します。この治療の特徴は、再発の早い段階のときに患者さんの自己判断で2回内服するだけで治療できる点です。この治療により、病変部位が治癒するまでの期間、ウ ...
Q45. 顔射されたあと眼がヒリヒリして赤くなりました。何かの病気になったのでしょうか?
A. クラミジア性結膜炎や淋菌性結膜炎になることもあります。 精液はアルカリ性ですので、直接眼に入ると結膜(眼球の白い部分)に炎症が起こり、ヒリヒリとした痛みを感じ、充血して赤くなります。また、相手の方がクラミジアや淋病にかかっていると、その精液によって目に感染してしまう場合があります。眼に精液が入ったときは、すぐに流水で十分に洗い流すようにしてください。淋菌やクラミジアだった場合も、この緊急対応により感染リスクを減らすことができます。数日後に目ヤニが多くなったり、目の充血が改善しない場合は、眼科を受診す ...
Q44. 淋菌とクラミジア同時感染の割合は?
A. 淋菌とクラミジアの同時感染は40%程度あると言われています。 淋菌とクラミジアが同時感染した場合、男性は排尿時痛とあまり粘り気の無い膿が出ます。女性の場合は臭いとおりものの量が増え、時に腹痛がありますが、症状だけでは判断できないので、淋菌とクラミジアの両方の検査をすることをお勧めします。同時感染の場合、淋菌の方が症状が強く進行が速いので、結果が判明するまでは、まず淋病の治療(点滴)を優先し、次にクラミジアの治療(内服)をするのが良いとされています。
Q43. 淋病の人とセックスしたら絶対うつりますか?
A. 1回の性行為による感染率は30%です。 淋病の人との性行為で、1回あたり30%の感染率です。確率的に同じ人と2回性行為があると50%、5回性行為があると85%、10回性行為があると98%淋病になる確率です。したがって、相手が同じでも、一晩で2回、3回と何度も性行為があった場合は淋病になる可能性は高まります。
Q42. 低用量ピルを生理が終わってから飲み始めましたが、避妊効果はありますか?
A. 生理後に開始した場合は、飲み始めてから7日間は避妊効果はありません。 初回の低用量ピルを生理が終わってから飲み始めた場合は、飲み始めてから7日間は避妊効果はありませんのでコンドームを併用してください。初めて低用量ピルを開始するときは、生理の1日目から服用を開始するようにしてください。連続して毎日一錠ずつ服用している場合は、生理様の出血に関わらず、毎日一錠ずつ決まった時間に服用していれば99.7%の避妊効果があります。 産婦人科医なので、このような質問はかなり多くあります。今後このコーナーは、性感染症 ...
Q41. 性病が自然に治ることはありますか?
A. 自然に治るというよりも、別の目的の治療でたまたま治ることはあります。 「過去にクラミジアの治療をしたことが無いのに、クラミジア抗体検査で(+)となりました」と相談を受けました。クラミジアの抗体検査にはクラミジアIgA抗体、クラミジアIgG抗体の検査があります。クラミジアIgAはクラミジアの活動性の指標と言われていて、感染後約2週間で(+)になります。IgG抗体は、感染後約1か月後から(+)になります。ちなみにクラミジアPCR検査はクラミジア本体を調べる検査で、検査した場所(腟、子宮頚管、尿)にクラミ ...
Q40. 「イソトレチノイン」を服用しています。たびたび腟炎になることと関係がありますか?
A. 明確な根拠はありませんが、関係があると思います。 これは、たびたび腟炎を繰り返すという患者様からの質問です。いつも飲んでいるお薬があるか聞いてみたところ、ニキビの治療薬である「イソトレチノイン」を個人輸入して服用しているとのことでした。そして、お話をよく聞いてみると、このお薬を服用してから腟炎になる頻度が高くなったとお感じになっているようです。「イソトレチノイン」は、海外では重度のニキビの治療薬として認められていますが、日本では未認証医薬品で、重大な健康被害のおそれがあるために個人輸入 ...