マイコプラズマジェニタリウムの検査保険適応化について
投稿の間隔がだいぶ空いてしまいましたが、性感染症分野において非常に画期的な動きがあったのでご報告します。 性行為によって他人に伝播される可能性のあるマイコプラズマ・ウレアプラズマは4種類あります。 そのうち、マイコプラズマ・ジェニタリウムの検査だけが、2022年6月より保険適応になりました! 現在のところ、マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査は、マイコプラズマジェニタリウム、マイコプラズマホミニス、ウレアプラズマパルバム、ウレアプラズマウレアリチカムの4種類を調べられる検査として、PCR検査と培養の検査が ...
マイコプラズマ・ウレアプラズマ性感染症について、日本語で初の教科書を書きました。
「マイコプラズマ・ウレアプラズマは常在菌ですか?」 「カンジダと同じように、体調が悪いと再発するものですか?」 「何度治療しても治らないので、ヘルペスのように一生治らない性感染症ですか?」 と、何人もの患者さんから同じような質問を受けて、 「この菌のことや、病気について、正しい知識を広めないといけない。このままだと、マイコプラズマ・ウレアプラズマにかかると、一生治らない恐ろしい病気という間違った概念が広まってしまう。」 と思いました。 そして、 「もしかしたら、治療にあたる医師も、マイコプラズマ・ウレアプ ...
新しいHIV確認検査法について
HIVに感染しているかどうかを調べたいとき、妊娠初期の検査や、手術前検査で行われるHIVのスクリーニング検査は、主にHIV-1抗原とHIV-1/2抗体を同時に調べる検査(HIV抗原抗体同時スクリーニング検査法)が標準になっています。 この検査の結果が「陽性」や「判定保留」の時は、ウェスタンブロットによる抗体検査法(WB法)とHIV-1核酸増幅検査法(HIV-1 NAT法)を同時にするHIV確認検査をすることになります。 しかし、WB法は、HIV-1とHIV-2を別々に実施しなければならないので、HIV-2 ...
細菌性腟症って何?細菌性腟炎との違いについて
「おりもののにおいがキツくなった」、「以前とおりものの性質が違う」などおりものの変化があったときは、細菌性腟症の可能性があります。 細菌性腟症とは? 細菌性腟症は、以前は非特異的腟炎と呼ばれ、性感染症の原因菌以外の菌によって起こる腟炎と考えられていましたが、現在は、腟の善玉菌である乳酸桿菌(Lactobacillus属の菌)が減少して、代わりにガードネレラ属の菌、ヘモフィルス属の菌、嫌気性菌やマイコプラズマ属、ウレアプラズマ属などが過剰に増殖し、これら複数の菌が「バイオフィルム」を形成して起こる病態として ...
生理不順と性感染症の関連について文献的考察をしてみた
Q63の「性感染症が原因で生理不順になりますか?」について、クラミジア感染やマイコプラズマ感染があった場合に生理不順になる可能性があると回答しました。 このことについて、調査した文献を元に解説したいと思います。 "Al-Farraj DA, Moubayed NM. The association between sociodemographic, hormonal, tubo-ovarian factors and bacterial count in Chlamydia and Mycoplasma ...
Q62. ピルを服用していると性感染症になりやすいですか?
A. クラミジア頸管炎のリスクを高める可能性があります。 ピル自体に性感染症やHIVを予防する効果はありません。不特定多数との性行為や性風俗業のハイリスク女性においては、ピルの服用がクラミジア頸管炎のリスクを高める可能性があると示唆されています。一方で、HIVを含めたその他の性感染症リスクの増加とピル服用との間には関連は無いと報告されています。性感染症の感染リスクを回避するにはコンドームの使用が有効ですので、不特定多数のパートナーおよびコンドームを使用しない性行為の習慣がある方は、定期的な性感染症検査をす ...
Q46. 性器ヘルペスの再発を抑える治療について教えてください。
A. 再発抑制療法は2種類あります。 ①ヘルペスの前兆を感じたら早めに服用する方法です。再発頻度が1年に3回以上で、再発の初期症状(ピリピリ・ムズムズなどの前駆症状)を正確に判断できる方が保険適応です。 治療方法は、ファムシクロビル(ファムビル®)を初期症状発現後すぐ(6時間以内)に4錠服用(1回目)し、1回目の服用から12時間後に4錠服用(2回目)で完結します。この治療の特徴は、再発の早い段階のときに患者さんの自己判断で2回内服するだけで治療できる点です。この治療により、病変部位が治癒するまでの期間、ウ ...
死ぬ病気ではありません:HIV感染症/エイズについて
エイズ(後天性免疫不全症候群)は、1981年にアメリカで特殊な免疫不全による非日常的な感染症を発症して死に至る症候群として認識され、1983年に原因がヒト免疫不全ウィルス(HIV)と同定された歴史の浅い疾患である。 その後、治療法の進歩によって、強力な抗HIV薬を複数併用する治療でほぼ100%効果があり、一般の人とほぼ同等の生命予後を期待できるようになっている。しかし、現時点での治療は、HIV感染症を根治させるまでの効果は無く、生涯にわたって抗HIV薬の内服継続が必要になる。 <HIV感染症の診断と検査> ...
あまり知られていない性感染症「マイコプラズマ・ウレアプラズマ」について
最近、マイコプラズマ・ウレアプラズマに関する質問が多くありますので、詳しく説明します。 マイコプラズマ・ウレアプラズマとは?症状は?(男性の場合、女性の場合)検査方法と検査時期は?治療は?予防方法は? 1.マイコプラズマ・ウレアプラズマとは?性行為による尿道炎の原因は、淋菌性と非淋菌性に分類されます。さらに非淋菌性は、クラミジア性と非クラミジア性に分類されます。この非淋菌性非クラミジア性尿道炎の原因菌として、マイコプラズマ・ウレアプラズマは海外で以前より注目されていました。日本では、ようやく性感染症の仲間 ...
梅毒感染のリスク要因が明らかに!
前回の記事でも梅毒のパンデミック(流行)についてお話ししました。 本日、2019年12月22日時点の梅毒患者数の速報値が出ました! なんと、6435例で依然として高値で推移しています。ちなみに、一昨年(2018年)は、7001人でした。ここで上げ止まってくれれば良いのですが・・・。 この数値は、あくまでも医療機関を受診して梅毒とわかった患者さんの数であり、実際の梅毒患者数はもっと多いと思われます。梅毒患者の発生数が最も多いのは東京都で、次いで大阪府、愛知県、兵庫県、福岡県の順です。 「感染症法」によって梅 ...
日本でいま一番流行っている性感染症は?
こんにちは! STD Dr, Yoshiです。 STDはSexual Transmitted Diseaseの略で、性感染症という意味です。 急に寒くなってきましたね・・・ 体調を崩さぬように夜は温かくして、睡眠をよく取るようにしてくださいね。 本日の記事は、日本でいま一番流行っている性感染症は何かについてです。 目次 1. 日本における性感染症の現状 現在で最も多い性感染症は? 2. 過去20年間における性感染症の推移 増加傾向にある性感染症は? 減少傾向にある性感染症は? 3. 今後の日本における性 ...