A. 常在菌ではありません。性感染症の原因菌です。
おりものの異常で受診した病院の医師に、「マイコプラズマ・ウレアプラズマは常在菌だから、除菌する必要はない」と言われたとのことで、真偽のほどを確かめに私のところに来院されました。このように、いまだに医師の中でも、マイコプラズマ・ウレアプラズマについて知識不足な人がいるのは非常に残念なことです。
常在菌の定義は、「多くの人に共通してみられ、病原性を示さない菌」のことです。
例えば、M.hominisとUreaplasma sppは、成人期までに健康な女性の80%以上が子宮頸部または腟分泌物にウレアプラズマを、50%がM.hominisを保有しており、性的に活発な男性は25%程度でM.hominisを保有していると欧米の論文で報告されています。たしかに、これだけ多くの人が持っているなら常在菌ではないのか?という疑問が湧きます。しかし、近年、M.hominisやUreaplasma sppは、男性では尿道の違和感や、女性では他の細菌と一緒になって増加することで、おりものの増加や臭いなど細菌性腟症の不快な症状をもたらすことが分かっています。また、出産時に赤ちゃんに感染すると、新生児肺炎などの悪い影響をもたらすことも分かっています。
このように近年の研究から、マイコプラズマやウレアプラズマは、もはや常在菌とは呼べず、性行為によって相手に伝染し、病変をもたらす病原菌として認知されています。