A. おりもののにおいだけでは性病かどうかの判定はできませんが、細菌性腟症の可能性があります。
「今の彼氏と付き合うようになってから、おりものがイカ臭くなりました。性病をうつされた可能性がありますか?」という女子大生から質問がありました。
「イカ臭い」は、「魚っぽい生臭いにおい」と表現されることもありますが、主に嫌気性菌の働きによって発生するアミンという物質のにおいと言われています。
健康な腟内には、善玉菌である乳酸菌が存在しています。乳酸菌は乳酸を発生させるので、甘酸っぱいような臭いは健康なおりもののにおいです。何らかの原因で乳酸菌が追い出されてしまい、悪玉菌である嫌気性菌などのいわゆる雑菌に置き換わってしまうと、このような臭いの変化が現れ、細菌性腟症と呼ばれる状態になります。
細菌性腟症の診断は、おりものの顕微鏡検査で迅速に診断できますが、顕微鏡でおりものを見ている病院はほとんどありません。私のところでは、顕微鏡検査をやっていますので、この女子大生もすぐに診断することができました。もちろん、クラミジア、淋菌などの性感染症の検査は念のため追加しましたが、細菌性腟症の診断で治療を行ったところ、すぐに良くなり、後日、性感染症ではないことが判明しました。
細菌性腟症は、性感染症ではありませんが、性行為関連疾患と考えられています。
細菌性腟症の詳細については、性感染症トピックス「細菌性腟症って何?細菌性腟炎とのちがいについて」をご覧ください。