A. 不安な性行為から3週間以降で可能です。即日検査はお勧めできません。
梅毒は、梅毒トレポーネマという菌が、性的な接触を介して相手にうつる感染症です。性感染症の中でも、感染力が強いのが特徴です。感染者数は、2017年をピークに横ばいになっていますので、まだ予断を許さない状況です。近年では、妊娠中に梅毒に感染した妊婦さんから出生した、生まれつき異常を持って生まれる「先天梅毒」の赤ちゃんの報告数が増えています。
このように、いまだ減少傾向の無い梅毒感染ですが、検査の適切な時期は、不安な性行為から3週間以上経過してからをお勧めしています。梅毒1期の症状(梅毒トレポネーマが侵入した局所の硬結、潰瘍)が現れるのも感染から3週間頃になります。梅毒の診断は、TP抗体検査とRPR抗体検査の2種類の検査によって判断します。どちらも抗体の検査なので、梅毒トレポネーマが身体に侵入して、免疫反応が起こり、十分な抗体が産生されるまでの時間が必要だからです。それ以前で検査をすると、偽陰性(本当は梅毒なのに検査結果は陰性)となる可能性があります(ウィンドウ期)。
TP抗体は、梅毒トレポネーマに対する特異抗体ですので、梅毒トレポネーマが3週間以上前に自身の体内に侵入したことがあれば陽性になります。RPR抗体は、梅毒の活動性の指標であり、体内で梅毒が活動していれば陽性、活動していない(治癒後)なら陰性になります。
梅毒の迅速(即日)検査や郵送検査は、TP抗体のみで検査をしている場合があります。TP抗体のみの検査では、感染初期を見逃したり、一度梅毒に感染したことがある人の再感染を見逃す可能性がありますので、お勧めできません。