HIVに感染しているかどうかを調べたいとき、妊娠初期の検査や、手術前検査で行われるHIVのスクリーニング検査は、主にHIV-1抗原とHIV-1/2抗体を同時に調べる検査(HIV抗原抗体同時スクリーニング検査法)が標準になっています。
この検査の結果が「陽性」や「判定保留」の時は、ウェスタンブロットによる抗体検査法(WB法)とHIV-1核酸増幅検査法(HIV-1 NAT法)を同時にするHIV確認検査をすることになります。
しかし、WB法は、HIV-1とHIV-2を別々に実施しなければならないので、HIV-2陽性例が少数ながら日本でも報告され始めていることを鑑みて、このWB法に代わり新たにイムノクロマトグラフィー(IC)法を原理としたHIV-1/2抗体確認検査法に変更される予定です。
IC法を原理としたHIV-1/2抗体確認検査法に変更されると、HIV-1とHIV-2の同時検査が可能になるとともに、検出感度も改善され、検査手技の簡便化、自動結果判定などの改善点があります。
今後のHIV確認検査は、①IC法原理によるHIV-1/HIV-2抗体確認検査法と②HIV-1核酸増幅検査法(HIV-1 NAT法)による検査の組み合わせが推奨されています。
HIV-1/2抗体確認検査法及びHIV-1 NAT法による確認検査を実施した場合、下の表のように診断します。
①HIV-1/HIV-2抗体確認検査法 | 総合判定 | |||
②HIV-1拡散増幅検査法(NAT法) | ||||
HIV-1 | HIV-2 | 判定 | 検出【陽性】 | 検出せず【陰性】 |
陽性 | 陽性 | HIV感染者 | HIV-1およびHIV-2重複感染者 | HIV感染者(低ウィルス量感染または治療中)・HIV-2感染者 |
判定保留 | HIV-1感染者 | HIV-1感染者 | HIV-1感染者(低ウィルス量感染または治療中) | |
陰性 | HIV-1感染者 | HIV-1感染者 | HIV-1感染者(低ウィルス量感染または治療中) | |
判定保留 | 陽性 | HIV-2感染者 | 急性HIV-1感染およびHIV-2重複感染者 | HIV-2感染者 |
判定保留 | HIV判定保留 | 急性HIV-1感染者 | HIV-1/HIV-2判定保留<2週間後再検査> | |
陰性 | HIV-1判定保留 | 急性HIV-1感染者 | HIV-1判定保留(HIV-1抗体偽反応)<2週間後再検査> | |
陰性 | 陽性 | HIV-2感染者 | 急性HIV-1感染およびHIV-2重複感染者 | HIV-2感染者 |
判定保留 | HIV-2判定保留 | 急性HIV-1感染者 | HIV-2判定保留(HIV-2抗体偽反応)<2週間後再検査> | |
陰性 | HIV陰性 | 急性HIV-1感染者 | HIV非感染または、リスクのある場合はHIV判定保留2週間後再検査 |
①の抗体検査は、感染初期は十分な抗体量が産生されていないため、②の抗原検査の結果と合わせて判断します。判定保留の場合は、2週間後に再検査をすることが勧められています。
HIVスクリーニング検査で陽性となっても、確認検査をするまでは偽陽性の可能性もありますので、しっかり確認検査まで受けましょう。