性感染症内科医 Dr. Yoshi の診療所

性病、フィットネス、株などの情報発信

ピルのFAQ

Q10. ミニピルを服用していても排卵は起こると聞きましたが、避妊効果は大丈夫ですか?

2022/7/6

A. ミニピルを服用していても排卵が起こっている可能性がありますが、避妊効果はあります。 排卵しているが避妊効果があるとはどういうことなのか?これだけでは、よく分からないと思いますので解説していきます。 ミニピルとは、黄体ホルモンのみが主成分のピルになります。一方、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの2つの成分を含有しているものが通常の低用量ピルになります。 ミニピルは、黄体ホルモンしか含まれていないので出血しやすい副作用がある一方で、卵胞ホルモンが含まれていないので、その副作用である頭痛、吐き気、血栓症のリスク ...

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性感染症トピックス

マイコプラズマジェニタリウムの検査保険適応化について

2022/7/6

投稿の間隔がだいぶ空いてしまいましたが、性感染症分野において非常に画期的な動きがあったのでご報告します。 性行為によって他人に伝播される可能性のあるマイコプラズマ・ウレアプラズマは4種類あります。 そのうち、マイコプラズマ・ジェニタリウムの検査だけが、2022年6月より保険適応になりました! 現在のところ、マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査は、マイコプラズマジェニタリウム、マイコプラズマホミニス、ウレアプラズマパルバム、ウレアプラズマウレアリチカムの4種類を調べられる検査として、PCR検査と培養の検査が ...

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性病FAQ

性病 FAQ

Q84.性病になる人とならない人の違いは何ですか?

2021/1/16

A. 菌やウイルスの量、性行為によってできた傷、免疫の状態などが複雑に関係しています。 パートナーの男性がクラミジア陽性で、検査を受けに来た女性からの相談です。 検査の結果、女性も性器クラミジアPCR検査陽性でした。 パートナーの男性には、複数のセックスパートナーがいることがのちに判明し、自分だけがクラミジアに感染したことが分かり、他の女性も検査をしたようだが、陰性だったとのことで、どうして自分だけがクラミジアになったのか納得できない、という質問でした。 性感染症の菌ではなくても、菌が相手に感染するために ...

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性病FAQ

性病 FAQ

Q83. 腟錠を挿入した後は、タンポンをした方が良いですか?

2020/11/13

A. 腟錠使用後はタンポンを使用しない方が良いです。 カンジダ腟炎や細菌性腟炎の治療は、腟錠を使って治療します。 病院で腟錠を入れてもらうパターンと、自分で挿入するパターンとがありますが、どちらも膣にタンポンを挿入しない方が良いです。 腟錠を挿入後にタンポンを使用すると、タンポンがお薬の成分を吸ってしまうので、治療効果が弱くなる可能性があります。 腟錠使用後は、お薬の成分が少量出ることがありますが、タンポンを使用せずに、おりものシートで対応する方が良いと思います。  

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性病FAQ

性病 FAQ

Q82. 何らかの性病にかかっていると、HIVに感染しやすくなりますか?

2020/10/23

A. HIVに感染しやすくなります。 では、どうしてHIVに感染しやすくなるのでしょう? HIVは、HIV感染者の血液や精液に含まれており、これらが直接身体の中に入れば感染する可能性があります。 クラミジア、淋菌、梅毒、性器ヘルペス、マイコプラズマ・ウレアプラズマ・トリコモナスなどが、性器に感染すると、膣や子宮頸部に炎症が起こります。炎症が進むと、不正出血や、かゆみ、性器の痛みを生じます。この症状は、これらの菌やウイルスによって、粘膜が破壊されることによって生じます。 女性では膣や子宮の粘膜に、男性では亀 ...

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性病FAQ

性病 FAQ

Q81. 過去に性感染症になったことがあるので、今は特に症状がありませんが、検査をするなら、いつが良いですか?

2020/10/20

A. 新しいパートナーとのお付き合いを始める前が良いと思います。 一度でも性感染症にかかったことがある方は、完治するまでの不安な心境によって、その後もトラウマになることがあります。その時は、「もう二度と性感染症にかかるまい」と心に決めたとしても、完全には不安を拭えないことが多いものです。そのような場合に、「性感染症にかかっていない」ことを検査で証明することで、少しでも安心につながるのではないかと思います。 本日は、過去の性感染症の感染のトラウマから、新しいお相手となかなか交際に踏み切れない方からの質問です ...

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性病FAQ

性病 FAQ

Q80. ヘルペス感染が心配で抗体検査をしましたが、結果の意味が良くわかりません。

2020/9/28

ヘルペス感染症には、1型ヘルペスウィルス(HSV-1)と2型ヘルペスウィルス(HSV-2)による感染の2種類があります。HSV-1は、顔面の三叉神経節に潜伏感染し、口唇ヘルペスとして再発症状を繰り返します。HSV-2は腰仙髄神経節に潜伏感染し、外陰部の水疱、潰瘍などの症状をくり返します。 ヘルペスウィルスの検査には、血液検査で調べる抗体の検査と、病変部位からの抗原の検査があります。 今回はヘルペスウィルス抗体の検査について解説します。 ①HSV-1に対する抗体の検査 ②HSV-2に対する抗体の検査 ③ヘル ...

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性病FAQ

性病 FAQ

Q79. 性病をうつされた可能性があるので治療したいのですが、検査も受けないといけませんか??

2020/9/15

A. お薬服用前、あるいは、服用後のどちらかで検査を受けることをお勧めします。 「彼女がクラミジアにかかったことが判明したので、今は症状がないけど治療したい」という青年がいらっしゃいました。 私は、念のため検査を勧めました。 しかし、この青年は、「症状が無いから検査はしなくていい、心配だから予防的に治療薬を服用したい」と言っています。 心配なのは良くわかりますので、この青年の言う通り、検査を受けずに治療薬だけを処方することは可能です。 でも、私が検査を勧める理由は、 ①クラミジアが陰性の結果なら、クラミジ ...

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性病FAQ

性病 FAQ

Q78. 生理中に受けられない性感染症や子宮の検査は何ですか?

2020/9/3

A. カンジダ、トリコモナス、細菌性腟炎、子宮頸がん、子宮体癌の検査は判定が困難になりますので、経血の多い日は検査精度が落ちます。クラミジア、淋菌の迅速検査も精度が落ちます。 経血が一番多い日を除けば、月経の始まり、終わりかけでも、ほとんどの検査が可能です。 血液を採取して調べる検査(梅毒、HIV、クラミジア抗体、ヘルペス抗体、HIV抗原抗体、B型肝炎、C型肝炎、成人T細胞性白血病などの検査)は、生理に関係なくできます。 おりものを採取して調べる検査のうち、ヒトの眼で確認を行う検査(カンジダ、トリコモナス ...

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性感染症トピックス

マイコプラズマ・ウレアプラズマ性感染症について、日本語で初の教科書を書きました。

2020/8/22

「マイコプラズマ・ウレアプラズマは常在菌ですか?」 「カンジダと同じように、体調が悪いと再発するものですか?」 「何度治療しても治らないので、ヘルペスのように一生治らない性感染症ですか?」 と、何人もの患者さんから同じような質問を受けて、 「この菌のことや、病気について、正しい知識を広めないといけない。このままだと、マイコプラズマ・ウレアプラズマにかかると、一生治らない恐ろしい病気という間違った概念が広まってしまう。」 と思いました。 そして、 「もしかしたら、治療にあたる医師も、マイコプラズマ・ウレアプ ...

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性感染症トピックス

死ぬ病気ではありません:HIV感染症/エイズについて

エイズ(後天性免疫不全症候群)は、1981年にアメリカで特殊な免疫不全による非日常的な感染症を発症して死に至る症候群として認識され、1983年に原因がヒト免疫不全ウィルス(HIV)と同定された歴史の浅い疾患である。

その後、治療法の進歩によって、強力な抗HIV薬を複数併用する治療でほぼ100%効果があり、一般の人とほぼ同等の生命予後を期待できるようになっている。しかし、現時点での治療は、HIV感染症を根治させるまでの効果は無く、生涯にわたって抗HIV薬の内服継続が必要になる。

<HIV感染症の診断と検査>

HIV感染症の原因ウィルスはHIV-1とHIV-2であるが、日本ではほぼ前例がHIV-1である。

HIV感染症の診断は、抗HIV抗体とHIV抗原の両者を検出する検査(第4世代検査)でスクリーニングを行い、この陽性者に対して、HIV RNA量の測定またはWB(ウェスタンブロット)法の2段階で検査を行い診断する。第4世代検査では疑陽性率が0.3%、簡易迅速抗体検査キットでの疑陽性率は1%程度あるので注意が必要である。

<HIV感染症の進行病態把握>

病態期の進行度の把握はCD4陽性Tリンパ球(CD4)数、治療効果は血漿HIV RNA量で判定する。(CD4数の正常値:700~1300/mm³)

初期HIV感染症:CD4数500/mm³以上、HIV RNA量100万copies/ml。

中期HIV感染症:CD4数200~500/mm³

後期HIV感染症(AIDS期):CD4数200/mm³未満

<HIV感染症の病期>

HIV感染症は、初感染期、無症候期、エイズ期に分けられる。

初感染期:HIV感染後2~6週間に初発症状として、半数以上の感染者に何らかの症状が出る。(発熱96%、リンパ節腫脹74%、咽頭炎70%、皮疹70%、筋肉痛/関節痛54%、頭痛32%、下痢32%、嘔気嘔吐27%)

無症候期:初感染期の症状が消失し、エイズ期に至るまでの数年から十数年の期間(個人差が大きい)。症状が出ないだけで、体内ではHIVが量産されCD4陽性Tリンパ球は破壊され続けている。

エイズ期:HIV感染者の免疫機構が破綻した時期。

<エイズの診断>

エイズ指標疾患(23疾患)が認められた場合(後述の表)。

<治療>

現在、日本では24種類の抗HIV薬が使用可能。HIV感染症と診断されたら、できるだけ早く治療を開始。エイズを発症し抗HIV療法をしない場合は2年以内にほぼ100%が死亡する。身体障がい者手帳(ヒト免疫不全ウィルスによる免疫機能障害)の手続きをすることで、医療費の自己負担を軽減する制度が利用でき、長期にわたる治療の継続の経済的な助けとなる。

<治療目標>

治療の成功は、血漿HIV RNA量を検出限界以下にまで抑制することである。現在、日本では20copies/ml未満まで検出可能だが、世界的には50copies/ml未満でも十分に同等の効果があると考えられている。通常は治療開始24週以内に検出感度未満(高くても200copies/ml未満)が達成されなければならない。「血漿HIV RNA量を検出限界以下にまで抑制する」かつ「CD4陽性Tリンパ球数が200/mm³以上」になれば、エイズ指標疾患はほとんど消失し、HIV感染者の生命予後も劇的に改善することになる。治療効果が不十分な場合の原因は、患者の内服率低下がほとんどである。HIVは高度に変異することが知られており、中途半端な服用により薬剤耐性ウィルスの出現を許してしまう。初回の抗HIV薬の服用を継続して、ウィルスの複製を徹底的に抑制しなければならない。

<予後に関して>

HIV感染の段階で抗HIV療法が開始されれば、一般の人と同程度までの延命が期待できる。エイズ期で治療を開始した場合には、10~20%の死亡率である。したがって、早期に検査で発見し、早期に抗HIV療法が開始できれば、患者自身の生命予後を改善するだけでなく、HIV伝播を減少することにもなるので、新規の感染者を減らすことができる。

<性感染症としてのHIV>

HIV感染者との性行為によりHIVに感染する確率は、コンドーム非使用男性→女性0.1%(1000回に1回)、コンドーム非使用女性→男性0.05%(2000回に1回)、コンドーム非使用アナルセックス受け入れ側0.5%(200回に1回)、コンドーム非使用アナルセックス挿入側0.067%(1500回に1回)、男性同士フェラチオ(受け入れ側)0.01%(1万回に1回)、男性同士フェラチオ(挿入側)0.005%(2万回に1回)。コンドームを使用した性行為では、これよりも確実に低い確率になる。ちなみに、職業的暴露では、針刺し事故0.3%(1000回に3回)、粘膜暴露(血液が目に入る)0.09%(1万回に9回)である。

<エイズ指標疾患>

エイズ指標疾患
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STD Dr. Yoshi

性感染症内科医(STD Dr.)、某クリニック院長。日本産科婦人科学会認定専門医。日本性感染症学会認定専門医。 性感染症についての正しい知識を発信するためにブログをはじめました。 美味しいものを食べるため、フィットネスで体型維持に努力! 株や副業にも興味があります。

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