マイコプラズマジェニタリウムの検査保険適応化について
投稿の間隔がだいぶ空いてしまいましたが、性感染症分野において非常に画期的な動きがあったのでご報告します。 性行為によって他人に伝播される可能性のあるマイコプラズマ・ウレアプラズマは4種類あります。 そのうち、マイコプラズマ・ジェニタリウムの検査だけが、2022年6月より保険適応になりました! 現在のところ、マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査は、マイコプラズマジェニタリウム、マイコプラズマホミニス、ウレアプラズマパルバム、ウレアプラズマウレアリチカムの4種類を調べられる検査として、PCR検査と培養の検査が ...
マイコプラズマ・ウレアプラズマ性感染症について、日本語で初の教科書を書きました。
「マイコプラズマ・ウレアプラズマは常在菌ですか?」 「カンジダと同じように、体調が悪いと再発するものですか?」 「何度治療しても治らないので、ヘルペスのように一生治らない性感染症ですか?」 と、何人もの患者さんから同じような質問を受けて、 「この菌のことや、病気について、正しい知識を広めないといけない。このままだと、マイコプラズマ・ウレアプラズマにかかると、一生治らない恐ろしい病気という間違った概念が広まってしまう。」 と思いました。 そして、 「もしかしたら、治療にあたる医師も、マイコプラズマ・ウレアプ ...
Q74. ビブラマイシンを服用中、貧血のお薬は中止した方が良いですか?
A. 中止する必要はありませんが、ビブラマイシンと鉄剤は同時に飲まない方が良いでしょう。 淋病、クラミジア、マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療薬のひとつに、ビブラマイシン錠があります。アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、鉄、カルシウムなどの金属イオンとビブラマイシンがキレート形成する(お薬と金属イオンが結合して分子構造の形が変わる)ことで、腸からの吸収が低下することがわかっています。 アルミニウムとマグネシウムは、便秘の治療薬(下剤)、鉄は貧血の治療薬、カルシウムは骨粗鬆症の治療薬の主成分です。 また、ビ ...
Q73. ウレアプラズマパルバムとウレアプラズマウレアリティカムを区別することに何の意味がありますか?
A. 菌に効果的な抗生物質を的確に選択するためです。 前回の記事で、ウレアプラズマの検査は、細菌培養検査とPCR法などの遺伝子検査があることを書きました。 保険適用の検査でできる細菌培養検査は、ウレアプラズマの2種類を区別することが難しいですが、PCR検査は、保険適用外なので料金が割高ですが、ウレアプラズマの2種類を区別できる点で優れています。 現在のところ、ウレアプラズマ・パルバムとウレアプラズマ・ウレアリティカムの治療は、どちらも同じお薬で可能です。しかし、ウレアプラズマとマイコプラズマは、薬剤耐性を ...
Q72. 2つの病院で受けたウレアプラズマの検査結果が違いました。なぜですか?
A. 2つの病院の検査方法が違うためです。 ウレアプラズマには、病原性を持つ菌としてウレアプラズマ・パルバムとウレアプラズマ・ウレアリティカムの2種類の菌があります。 ウレアプラズマの感染による症状は、菌が産生するアンモニアによって粘膜障害が引き起こされるため、女性では腟の違和感、かゆみ、排尿時の痛み、性交時痛などで、男性では、尿道のかゆみ、排尿時の痛み、亀頭包皮炎などがあります。一方、すべての人に症状が現れるわけではないので、常在菌と考えている医師もおり、いまだに適切に治療されないことがあります。しかし ...
Q69. セックスの後、のどに違和感があります。性病の可能性はありますか?
A. 咽頭クラミジア、咽頭淋病、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、ヘルペス、梅毒、HIVが考えられます。 性行為の多様化によって、オーラルセックス(フェラチオ、クンニリングスなど)で性感染症の原因になる菌やウィルスが、咽頭や、扁桃腺に感染することがあります。しかし、それが風邪の流行時期であれば、溶連菌やインフルエンザウィルスなどの風邪による上気道炎、扁桃炎ということも考えられます。 ただし、「性行為の後から」ということを考えると、性行為によってうつった咽頭の性感染症の可能性も考えられます。 一般的に、淋菌は ...
Q65. 不妊症と関係のある性感染症は?
A. 骨盤内炎症疾患(PID)は不妊症や異所性妊娠等の深刻な後遺症を起こします。 「妊活を頑張ってますが、なかなか妊娠しません。何らかの病気になっているんじゃないかと不安です」という既婚の女性からのご相談です。そして、症状を尋ねると、「ジャンプすると下腹部が痛い」と教えてくださいました。 これを聞いて、骨盤内炎症疾患(PID)の可能性があると考えました。 不妊症の原因となる骨盤内炎症性疾患(PID)の原因菌は、性感染症に限らず、性感染症以外の一般細菌でも起こりえます。(もちろん、卵巣腫瘍の捻転・破裂、異所 ...
生理不順と性感染症の関連について文献的考察をしてみた
Q63の「性感染症が原因で生理不順になりますか?」について、クラミジア感染やマイコプラズマ感染があった場合に生理不順になる可能性があると回答しました。 このことについて、調査した文献を元に解説したいと思います。 "Al-Farraj DA, Moubayed NM. The association between sociodemographic, hormonal, tubo-ovarian factors and bacterial count in Chlamydia and Mycoplasma ...
Q63. 性感染症が原因で生理不順になりますか?
A. クラミジアやマイコプラズマの感染によって生理不順になることがあります。 最近、私のクリニックにいらっしゃる患者さんの中に、「生理不順になったので絶対にクラミジアだと思う」と言って性病検査を希望される方がいました。ところが、その後も一人だけではなく何人も、同じように生理不順で性感染症の検査を希望される方が増えていることがわかりました。 性感染症が原因で本当に生理不順になることがあるのだろうか?と、私はにわかに信じがたかったので調べてみました。 まず、生理不順(月経不順)についてですが、正常な月経の周期 ...
Q54. マイコプラズマ、ウレアプラズマは常在菌ですか?
A. 常在菌ではありません。性感染症の原因菌です。 おりものの異常で受診した病院の医師に、「マイコプラズマ・ウレアプラズマは常在菌だから、除菌する必要はない」と言われたとのことで、真偽のほどを確かめに私のところに来院されました。このように、いまだに医師の中でも、マイコプラズマ・ウレアプラズマについて知識不足な人がいるのは非常に残念なことです。 常在菌の定義は、「多くの人に共通してみられ、病原性を示さない菌」のことです。 例えば、M.hominisとUreaplasma sppは、成人期までに健康な女性の8 ...
Q36. 昔からおりものが多いのですが、異常ですか?
A. おりものの検査をしてみましょう。 おりものは、量、色、におい、性状の変化があると異常のサインである場合があります。一番多い原因が、膣に雑菌が入り増殖することによっておこる細菌性腟炎です。次にカンジダ腟炎が多く、性感染症としてのクラミジアや淋菌性の子宮頸管炎・腟炎が原因であるのは、頻度的には多くありません。おりものに異常を感じた場合には、一般細菌、カンジダ、トリコモナス、淋菌、クラミジア、ウレアプラズマ、マイコプラズマの検査をお勧めします。 これらの検査を実施して、結果がすべて陰性だった場合は、体質的 ...
あまり知られていない性感染症「マイコプラズマ・ウレアプラズマ」について
最近、マイコプラズマ・ウレアプラズマに関する質問が多くありますので、詳しく説明します。 マイコプラズマ・ウレアプラズマとは?症状は?(男性の場合、女性の場合)検査方法と検査時期は?治療は?予防方法は? 1.マイコプラズマ・ウレアプラズマとは?性行為による尿道炎の原因は、淋菌性と非淋菌性に分類されます。さらに非淋菌性は、クラミジア性と非クラミジア性に分類されます。この非淋菌性非クラミジア性尿道炎の原因菌として、マイコプラズマ・ウレアプラズマは海外で以前より注目されていました。日本では、ようやく性感染症の仲間 ...
Q23. 尿道の違和感がある場合、どのような検査をしたら良いですか?
A. クラミジア、淋菌、ウレアプラズマ、マイコプラズマの検査をお勧めします。 排尿時の違和感は、尿道に炎症があるときに生じる症状です。尿道炎は淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎とに分けられます。非淋菌性尿道炎は男性尿道炎の全体の70%を占めます。そのうち、クラミジアが検出されるのは30~40%に過ぎません。非クラミジア性尿道炎の原因菌にウレアプラズマやマイコプラズマ、ヘルペスウィルス、アデノウィルス、口腔内の雑菌などがあります。淋菌性尿道炎の方が症状が強く、非淋菌性尿道炎の症状は軽度で、クラミジア性と非クラミジ ...
Q21. ウレアプラズマ、マイコプラズマは性感染症ですか?
A. 性行為によって感染するため性感染症です。 日本ではあまり馴染みが薄いですが、諸外国では性感染症(STI)として認知されています。性行為によってパートナーに感染します。症状は乏しいですが、膀胱炎や尿道炎のような排尿時の違和感を感じる方もいらっしゃいます。通常の膀胱炎の治療では治りにくく、膀胱炎を繰り返す場合の原因菌であることも多いです。また、不妊症や流産・早産の原因の一つとしても考えられています。
Q15. コンドームを使用したオーラルセックスで感染を防げる病気は?
A. 淋病・クラミジア・ウレアプラズマ・マイコプラズマは予防できる可能性があります。 最初からコンドームを装着すれば、淋病・クラミジア・ウレアプラズマ・マイコプラズマは予防できる可能性があります。ヘルペスと梅毒は皮膚同士や粘膜同士の接触でも感染しますので、コンドームをしていても安全とは言えません。