私は今は性感染症内科医をしていますが、もともとは産婦人科医です。なぜ男性なのに産婦人科医なのか?とよく質問をされます。その答えは「男性だから」です。男性には月経がありません。恥ずかしい思いをして内診台に上がって診察されることもありません。なにより出産を経験できません。それなのに、なぜ産婦人科医になって、女性の診察ができるのか?と厳しい声を戴きます。その意見はもっともだと思っています。女性の患者さんの立場からすれば、同性に診察してもらいたいと思うのは当然ですよね。
しかし、一生涯女性になれないからこそ、女性が偉大であること、大変であること、体内で小さな命を育くんで、この世に命を誕生させることの神秘に惹かれ、私は産婦人科医になりました。こう考えるのはエゴかもしれません。一生かかっても経験できないことを、異性の医師として女性の傍で少しでもサポートできたらと思っています。